CASE STUDY
中国電力株式会社 様
複数メーカーのテレビ会議端末とも柔軟に接続可能な
拡張性あるMCUが決め手
遠隔地を円滑につなぐ強力なコミュニケーション基盤を構築
中国電力株式会社 様
エネルギーがもたらす活力ある社会を意味するENERGIA(エネルギア)をキーコンセプトに、中国地方及び小豆島など島しょ部を含めたエリアに電力事業を展開する中国電力株式会社。
各家庭や企業に電気を供給することはもちろん、原子力開発の積極的な推進や石炭をガス化することで高効率化を実現した発電システムの実証プラント立ち上げによってCO2排出抑制を行うなど環境問題への積極的な取り組みも実施しており、低炭素社会の実現に貢献する様々な活動を行っている。その同社が中国地方全域へ電力供給を行うために保有している火力・原子力発電設備は現在10ヵ所あるが、これらの発電所と広島にある本社とのコミュニケーション基盤に採用されているのが、TANDBERG(タンバーグ)のテレビ会議ソリューションだ。
導入の経緯:必要不可欠なコミュニケーション基盤の老朽化と音質改善の急務に
日本国内に10ある一般電気事業者のうち、鳥取や島根、岡山、広島、山口など中国地方を中心に事業を展開している同社は、1994年にテレビ会議システムの前身となる画像コミュニケーションシステムをいち早く導入。ワークスタイルの変革が全社的に掲げられた2004年にはPCを活用したWebカンファレンス製品を導入するなど、コミュニケーションの活性化を目的とした積極的なインフラ構築を行ってきた。特に、拠点同士の移動に4時間余りもかかってしまうという地理的事情もあり、遠隔地との円滑なコミュニケーションを実現するインフラが欠かせないと情報通信部門天崎文晶氏は語る。「当社はコミュニケーションの活性化に向けた取り組みを積極的に行っています。中でもインフラとして多くの人の生活を支える発電所や電力所同士をつなぐ最適なコミュニケーション基盤は、我々にとって必要不可欠なのです。」
しかし、以前導入した画像コミュニケーションシステムが老朽化しただけでなく、Webカンファレンス製品で多地点接続を行う際に顕著になる音質の悪化が指摘されていた。そこで画像コミュニケーションシステムのリプレイスとともに新たに導入を検討したのが、異なるメーカーのテレビ会議端末を柔軟に連携させることができるMCU(テレビ会議用多地点接続装置)だったという。
選定のポイント:実証試験で判明した“スペック以上の性能差”と相互接続性
「2004年当時、市販されていた一般的なMCUは異なるメーカー端末同士の相互接続性が確保されておらず、うまく通信することが保証されませんでした。そんなとき、H.323を利用することで相互接続を実現できるMCUがあることを知ったのです。」と語るのは電源事業本部 島根原子力発電所坂本篤夫氏。Webカンファレンス製品の音質改 善のために相 談をしていたベンダーからTANDBERG Codian MCUを紹介され、異なるメーカー間での相互接続性が実現できるMCUについに出会うこととなった。
そして、2005年よりCodian MCUを検証機として導入し、各メーカーの端末同士を接続する実証試験を行い、その性能を確認することができたという。また、テレビ会議端末についても過酷な環境下での通信テストが行われることになる。「上り下りの帯域を変えた環境で使ってみるなど、厳しい実証試験を行いました。あるメーカー端末は、テレビ会議の画像そのものが映らないなどカタログスペック以上に性能の差があることが実感できたのです。その中でも問題なく通信できたのがTANDBERGでした。」と天崎氏。そして、これから数年使い続けるインフラとしては、高品位な映像と音声が提供されたHD対応のテレビ会議端末が必要不可欠だった。
そこで、当時HD分野で先行していた各メーカーのHDテレビ会議端末に関しても比較を行った結果、TANDBERGが安定性と品質などでもっともバランスが優れていたため、2007年4月より、電源事業本部が管轄する各発電所に順次導入されることになったのだ
現在の運用と評価:2年間で400回以上!MCUを意識させない簡便なUIが魅力
2007年7月時点で、発電所を統括する本社電源事業本部に1台、各発電所に1台ずつ、調査事務所に1台と合計12台のTANDBERG Edge 75MXPが初期導入分として設置されている。これらの拠点をつなぐネットワークには同社独自の光ファイバ網が活用されており、多地点接続装置のCodian MCU 4220はデータセンターに設置されている。ネットワーク基盤を含めたテレビ会議システムの構築と保守はエネルギア・コミュニケーションズにより強力にサポートされ、万が一トラブルがあった場合にも迅速に対応されるようになっている。
主な用途について電源事業本部 総括担当長谷部昌平氏に尋ねたところ、本社と各発電所間で実施される品質向上の打ち合わせに使われるだけでなく、発電所に常駐している取締役と本社をつないだ経営会議などにも役立てているという。さらに、本社で実施される技術発表会をリアルタイムに中継するなど、情報共有のためのツールとしても活用している状況だ。「利用頻度を見ても約2年間で延べ400回以上、1日1回は使っている計算になります。発電所の設備保守を担当する外部ベンダーなどにも利用してもらっており、コミュニケーション活性化に大きく寄与していると言えるでしょう。」と長谷部氏。
特に活用が進んでいる理由に、製品の使いやすさが挙げられると長谷部氏は強調する。「多地点での接続を容易にするため、MCUを意識させないようにUIが工夫されています。地図上に表示された各拠点をチェックボックスでチェックし、接続ボタンを押すだけで会議が開始できます。こういったUIがあるだけで、一段とテレビ会議が身近なものになっていると思います。」ノウハウの豊富なTANDBERG正規販売パートナーにより開発されたTANDBERG Codian 用の操作GUIが、ユーザの満足度に貢献しているようだ。
また、MCU導入前に行った検証作業についても「将来的な投資保護の観点から、MCUについては、どのベンダーの端末であっても接続できるようにしておきたいと考えていました。そこで検証を依頼したところ、テレビ会議端末の主要ベンダーの製品をかなり集めていただき、しっかりとした事前検証ができたことの意味は非常に大きいですね。」と坂本氏。
各拠点からの移動時間や交通宿泊費などのコスト削減はもちろん、遠隔地との意思疎通が早まったことでの経営判断の迅速化に大きく寄与しているとその効果を力説する。「また、大規模な発電所はどちらかというと風光明媚な場所にあります。移動手段の制限もあり、このようなコミュニケーション基盤が大いに役立っています。」と天崎氏は評価する。
今後の展望:会議室から現場へ!幅広いコミュニケーション基盤として期待
今後の展望について坂本氏は「会議室のみならず、発電所の現場とやり取りできるようなインフラにもしたいですね。」と語る。現在建設中の発電設備もあり、本社と現場をつないでの打ち合わせなどにも活用したいという。また、導入したMCUはどのメーカーの製品とも柔軟な連携が可能なため、内部で使っているコミュニケーション基盤を開放し、顧客との打ち合わせなどにも応用できる可能性も秘めている。さらに、天崎氏は「録画機能をつけることで研修などを録画し、参加できなかった人が後で閲覧できるような仕組みがあれば便利だと思います。」と新たな活用方法も視野に入れているという、コミュニケーション基盤としてのテレビ会議システムを今後も積極的に活用していきたいと締めくくった。
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